【レビュー】ピカレスクロマンTRPGを作者が本気でレビュー

グループSGRの記念すべき一作目、ピカレスクロマンTRPG。

今後、色々なルールブックをレビューしていきますが、せっかくなので第一回は拙著ピカレスクロマンTRPGを紹介してみたいと思います。

『なにができるシステム?』

「暴力、策略、金が渦巻くアウトローTRPG」

一言でまとめるなら、こういうシステムです。ピカレスクロマンは、悪党の物語、悪漢小説と呼ばれる小説のジャンルを意味します。名前の通り、このゲームでは普段体験できない「悪党」をプレイすることができます。

PCは「ピカロ」と呼ばれる稀代の悪として、日本にあって日本でない、無法地帯「街」を舞台に、VIPと呼ばれるカモを喰い潰します。

『どんなキャラクターが遊べる?』

ピカレスクロマンTRPGでは、五種類のメインジョブと二十一種類のサブジョブを組み合わせて、自分だけの悪党を作ることができます。

メインジョブは「ヤクザ」「情報屋」「詐欺師」「遊び人」「博徒」の五種。無法の「街」で生きて行くための技術とも言えます。

対してサブジョブは「街」に来るまで、現代社会で生業にしていた職業。たとえば「弁護士」「ホステス」「神父/シスター」なんてものから「アイドル」や「クズ」なんてものがあります。

たとえば「ヤクザの弁護士」なんてものから「詐欺師のシスター」「情報屋のクズ」……「元アイドルヤクザ」なんてのでも良いわけです。

能力値は、「暴力」「智力」「色香」「天運」の四種類。メインジョブによって得意な能力値が違います。

メインジョブとサブジョブを組み合わせて、能力値を振れば……キャラクターが完成です。難しいことは何もありません。慣れれば十五分でキャラが出来上がってしまいます。

ですが……単純に組み合わせとしては「105」パターンはあるわけですから、シンプルですが自分だけの悪党を作成することができます。

もちろん、フレーバーは自由なので「ヤクザ」を「マフィア」にしたり「ホステス」を「ゲイバーのママ」なんていじるのも自由です。

なにが面白い?

このシステムの面白さは、「プレイヤーVSプレイヤーVSゲームマスター」(PvPvGM)という特殊な形態にあります。単純に悪党同士やりあう、なんてことはありません。PvPとは違うのです。むしろ、プレイヤー同士争っていては負けます。

PCは、「街」でも際立って優秀な悪党として位置します。彼らは雑魚ではなく、大きく太ったカモを喰い潰すことでしょう。この「太ったカモ」はVIPと呼ばれます。

このゲームでは、GMの演じるVIPの持つ利権を多く獲得したプレイヤーが勝利となります。たとえば、VIPがカジノのオーナーであれば、このVIPの利権は「土地の権利書」であるとか「現金」だとか「店そのもの」だったりします。こういったものがシステム上、点数化され、VIPは「10」点利権を持っているものとします。

この利権をPCたちは奪いに行くわけですが……流石にカモといえど、そこまでバカではなく、ある程度対策は打っています。黒服のお兄さんを雇うだとか、何かしらセキュリティがあるわけです。

そのため、何の準備をせずに利権を取りにいっても失敗する可能性が高いです。奪いに行くには、判定を有利に進める金を稼いだり、VIPの弱点を知るために情報を集めたりする必要があります。

しかし……VIPの利権は有限です。「10」点だったら「10」点奪われてしまえば、もうVIPは素寒貧ですから、無いものは奪えません。VIPの持つ利権がゼロになった瞬間、ゲームが終わります。

しかも、VIPが持つ利権はPCたちは知ることができません。ですので、利権を奪うための準備ばかりしていたら利権がなくなってゲームが終了! ということが往々にしてありえます。他のPCが獲得に成功したのはわかっても、あとどのくらい残っているのかわからないわけです。

かといって、準備をおろそかにして利権を取りに行っても判定に失敗する可能性が高い……しかし準備ばかりしていては……、というジレンマ

そしてこれだけでは終わりません! さらにPCたちの中には「裏切り者」が存在します。

「裏切り者」は、VIPの味方です。 VIPから利権を攫うフリをしながら、他PCの懐の利権を虎視眈々と狙っています。

VIPの利権が0になった後、「裏切り者探し」の時間が訪れます。このとき、裏切り者を指名できなかったPCは裏切り者に利権を横取りされます。逆に見事当てることができたPCはボーナス利権を手にいれることができます。

「裏切り者」を見つけられなければ、利権を横取りされる……しかし「裏切り者」探しにばかり精を出していては利権が0になってゲームが終わるかもしれない……何をするにも準備が必要だが……準備ばかりしていれば……しかし準備しなければ「裏切り者」も探せないし、「利権」も手に入れられない……。

そんなジレンマを抱えながら、ときに他の悪党と協力しつつ、ときに裏切り、ときに蹴飛ばしあい、VIPを喰い潰す、これがピカレスクロマンTRPGです。

『でも?』

「PvPvGMと言っても……PvP要素があるんでしょ……殺したりすると気まずいし」なんて思ってる方もいらっしゃるかもしれません。わかります、実は私、こんなゲーム作ってますがPvPが超苦手で、敬遠するまであります。

そういうわけで、ピカレスクロマンTRPGはPvPが苦手な方でも遊べる安心設計となっています。

まず、このゲームはPvPvGMであってPvPではない、ということです。説明した通り、あくまでこのゲームは「カモを喰い潰す」ことであって「他PCを倒す」ことではないんですね。むしろ、特定のPCにこだわろうとすれば、利権が集まらず負けます。殴るべきはGMなのです。

GMは……大人しく、やられ役をノリノリでやっていただくしかないんですが……まあ、そこは……はい。

そして、キャラクターが死んで使えなくなる……いわゆる「ロスト」はありません。そもそもHPとかの概念がないので、死にません。

中には「コロシ判定」という物騒な感じの判定もありますが。これは業界用語で、あくまで「社会的に殺す」ことに過ぎず命を奪うものではないです。命を奪われる代わりにお金などを差し出して逃げる、という処理になります。なので遠慮なく隣のPCを殴っても気まずい思いはしません。

ピカレスクロマンらしく、ほどよく惨めな思いもしつつ、ほどよく優秀な悪党として馳せる、そういった設計なので「PvPが苦手だけど……」という人もぜひ遊んでみてください。

『システムの独自な特徴』

「出目が悪い……くそっ……こんなときに腐れ出目がでやがって……!」そんな腐れ出目団の方に朗報です。このシステム、出目が悪い人でも勝てるんです……!

悪党社会で物を言うのは、……まあご存知の通り、札束です。多少自分の力量が至らなくても、札束積んで、札束で殴れば物事どうにかなります。

このゲームには「財」と呼ばれる「物事をどうにかできる金」というリソース(資源)があります。

「財」を「1」消費すると……達成値を「1」上昇させることができます。つまり、出目が悪かった時は札束積めばクリアできます。

たとえ、能力値が相手に劣っていても、大量のマネーをちらつかせれば「札束積まれたら負けるかもしれない……」と相手を降ろすこともできます。この辺りは、ポーカーなどの「手札が悪くてもベットで降ろす」といった部分を再現しています。

この「街」において金は強力な武器ですが……あくまで武器に過ぎず……目的は「カモの利権を奪うこと」ですから、金を集めることばかりに執着しても負けます。しかし、金がなければ……という。

また、中には「手本引き」と呼ばれるギャンブルを参考にした判定があります。「手本引き」あまり馴染みのないゲームだと思いますが……これは江戸時代からある日本の博打で「究極のギャンブル」「賭博の終着駅」と呼ばれるほど、非常に中毒性が高い、最高峰の心理戦なんですね。あらゆる博打に手を出しても、最終的にみんなこの「手本引き」に戻って来ることから「賭博の終着駅」と呼ばれるゆえんです。

それを参考にした判定がゲーム中にあり……ユーザーの皆様からは「成功した時はヤバい汁がドバドバ出る」と好評いただいてます。詳細は……あえてここでは省かせていただきます。ぜひプレイして体験してみてください。

『判定方法は?』

こんな感じのゲームですが「結構複雑で難しそう……?」と思われた方もいるかもしれません。ですが……このゲームは TRPG初心者でも楽しめることをコンセプトとして設計しています。ゲームの作り自体は超シンプルです。

判定に必要なのは六面体ダイス二つだけ。たとえば、「暴力で判定してください。目標の値は10です」と言われれば「暴力が3で2d6が……7なので合計で10で、成功です」こういう感じです。

サイコロフィクションなどでお馴染みのターン制で進んで行くので、自分の手番が来たときに選択肢から一つ選んで行動して判定するだけ。シンプルです。

ぶっちゃけ何も考えずに脳筋プレイしても大丈夫です。むしろ、そういうった行動は他PLの読みを大いに狂わせたりとTRPGをより盛り上げることになったりするので、自分だけの悪党の理念に従って楽しんでもらえればOKです。

『細かいところで』

ルールブックの中にチュートリアルリプレイを載せています。リプレイ読んでもらえれば、なんとなく流れが掴めるように書いています。サンプルシナリオも三本載せてますし、公式HPのシナリオに飛んでもらえれば10本以上あります。

リプレイでは表紙を担当していただいた「むつみなと」さんの挿絵盛りだくさんです。市販のリプレイに負けない量です。表紙が気に入った人は是非見てみてください、オススメです。

GMの負担を軽くするようにも設計したので、慣れればシナリオは30分あればできます。慣れなくても数時間あれば完成するぐらい軽いです。サンプルシナリオを1〜2本回すころにはスイスイ作れると思います。作るの面倒でもさっき書きましたが、いっぱいシナリオあるのでそちらで遊んでもらえれば大丈夫です。

以上が、ピカレスクロマンTRPGのレビューでした。いかがでしょうか、ちょっと興味出たなぁ、という方は下記に入手先をまとめていますので、お求め易いところでお求めください。

でもゲームの様子がわからないことにはなぁ……という方は、ニコニコ動画に有志の方がリプレイ動画をあげてくださったので、そちらをご覧になってみてはいかがでしょうか。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm31997319

作者の贔屓目抜きに、クオリティが高いです。演出が丁寧で、解説もやさしくキャラも立っていて、面白いです。

公式HPから色々な委託先を載せています。興味を持った方はぜひ。

以上、レビューでした。

今後もこういう形で色んなものをレビューしていけたらなと思っています。

買っていただくことがベストですが、Twitterでこの拡散してくれるだけでもすごく嬉しいので拡散してね!

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