魅力的なキャラクターの作り方

魅力的なキャラクターはどうやったらできあがるんだろうか、という問いに対して、自分なりの答えの一つを整理してみたので、まとめてみたいと思います。

結論から言ってしまえば、魅力的なキャラというのは「軸がしっかりしたキャラ」であると考えられます。
「軸がしっかりした」というのは、「言動と行動が一貫している」と定義します。

逆にいえば「軸がブレッブレ」なキャラは魅力的でないとも言えます。

じゃあ、軸云々ってどういうキャラのことなんだよ? と、……例えてみましょう。

簡単に言えば「行動基準が全てにおいて金が優先される」男と「基本的に金勘定で動くが時に人情で動く」 どちらが魅力的なキャラとなり得るか、という話です。

まず、前提としてキャラクターに抱く感情というのは、実際の人間関係に抱く感情とさほど変わらない部分が少なくない、ということがあります。

じゃあ実際の人間関係において魅力を発揮する人間は? という答えは「信頼」ができる存在です。「信頼」できないやつは不快です。

この「信頼」は人情味があるとか、そういった問題でなく、言動が読めない、不安要因が多いということですね。

単純に考えて「普段から発言手のひらクルックルドリル回転野郎」は信頼できませんし、不愉快な存在だと言えます。

先の例でいえば「基本的に金勘定で動くが時に人情で動く野郎」は、信頼できません。こんな奴が主人公パーティにいるのは嫌でしょう。いかにも小物感が出ますね。

行動と言動がブレないと信頼ができますから、少なくとも不愉快な思いをさせることはありませんし、キャラも立ちます。

現実世界であれば、この行動と言動が「自分に益をもたらすか?」という判断も終えたあとに、魅力的に写るか不愉快になるかの結論が下されますが

(たとえば、目の前の人が戦争大好き、闘争大好き、という言動と行動が一貫していても、自分に被害が生まれる可能性がある以上、魅力的! とは惹かれにくいです)

ですが、物語であれば、どのような言動であれ自分に直接的に害を及ぼすことはありませんから、むしろぶっ飛んだ言動はキャラが立つまであると考えられます。一貫していれば、基本的に「信頼感」を抱くことができます。(安心感とも言えます)

これらのポジティブな感情を抱かせる、というのは魅力的と置き換えることができるでしょう。

言動と行動がブレていない。言動と、そのあとの行動が一致している時に、人は信頼を覚え魅力を感じる、これがまず一つのステップです。

そして、言動と行動を一貫させたキャラクター……つまりは信念があるキャラクターは、貫くことで容易にドラマを形成することができます。

自分の信念を積み上げてきたからこそ、崩したときに衝撃を生み出すことができるからです。

先ほどの例でいえば、「絶対に金を優先して生きてきた男が、人生の最後に金を捨てて少女のために動いた」というのはドラマ足り得るわけです。

それほどまでに貫いたものを捨てさせるほどの事件があった、せっかく積み上げたものを崩すだけの何かがあったのか? 既に物語が発生しています。

観たものに関心を持たせる、つまり惹きこむ要因を生み出すことができます。

逆に「絶対に義理人情を重んじていたキャラクターが、急に金を持って裏切って逃げた」となった時もドラマ足りえます。貫いているものはなんでも良いです。

しかし、これはあくまで「積み上げてきた者」のみに許されるドラマです。

「金でも義理でもホイホイ動かされる」キャラが、金を捨てて義理に走ったり、義理を捨てて金に走ったところで、「はいはい、またですか」で関心は一蹴されます。

逆に崩さなくとも、貫き通すほうにも当然ドラマはあります。

どんなに拷問を受けても「アイツからは報酬を受け取った以上、絶対に裏切るわけにはいかない」と吐き捨てれば、かっこいいです。一方的に殴られ続けても「死んでも女に手はあげねえ」と殴られるのもカッコいいわけです。逆境だろうと貫き通す、というのは魅力足りえます。

その時の気分で行動して、のちの行動が一致しなければ当然おかしなものになります。さっきまで「俺は死んでも女には手をあげねぇ」と言っていたキャラが、次の話で「女性だけどグーパン決めるぜ〜〜」とか言いだしたら「あの時の男気はなんだったんかーい」とツッコミが入ること間違いなしですし、「あの時は都合よく見せてただけ?」と変な勘ぐりも入ってくるわけです。魅力的なキャラと感じさせることができません。

貫いて積み上げてきたモノがあると、どう動いてもキャラが引き立つ、これが第二ステップです。

しかし、実際に「軸がしっかりしている」と見せるのは難しいです。

「俺は絶対に〜〜するキャラだから」と言われても、その場でそう言っているだけにしか見えないわけです。言動だけでは軸がブレていないかわからないのです。行動が伴って初めて一致します。

「俺は漫画家になるんだぜ」と夢を語る男がいたとします。夢を持った人間は魅力的です。しかし「その後、応募はおろか1ページも書いていない」。でも言動は「漫画家になって一発当ててやる〜」。この男に魅力を感じる人はごくわずかでしょう。「漫画家になるんだぜ」そう言って毎日毎日描き続け、応募して落選しても、それでも描き続ける。これでようやく言動と行動が一致したと認識させることができます。

そうすれば、「ある日、漫画を描くのをやめた」でも「えっ!? なんで!?」と引き込まれますし「ボロクソに編集にけなされた、それでも描く……!」というのも、カッコいい、と思わせることができます。

一致したと思わせるまでは当然時間がかかります。いわば「来る日も来る日も描き続けた」という描写が必要なわけです。

少し話が逸れますが、Fateコンテンツはここがとても上手くハマっているのではないかな? と感じます

Fateに登場する英霊と呼ばれるキャラクターは、実際の逸話や歴史に登場してくる人物です。

つまり、英霊として召喚されたキャラクターは、既に「一生を通して積み上げてきている」ものがあるわけですね。

ですから、言動、行動の一つ一つに説得力があります。「生前貫き通してきたもの」に基づいての行動になるわけですから、ステップ2で挙げた「信念を貫いている」が発生しているわけですね。逆に、さりげない行動が「その生前積み上げたものを投げ捨てるほど」の行動として認識されると、彼(彼女)にとって、それほどまでの出会いだったんだな、と思わせることが可能なわけですね。

逸話や歴史、という共通認識、つまり既に前提の信念が描写されているため、作中で描写せずとも、言動と行動が一致したと思わせる描写が完了しているわけですね。

上の論理のいいとこだけを使用できている、これは凄く理に適っていると感じました。

このブログはTRPGのブログですから、TRPGについても触れると……実は、このイイとこ取りを再現する機能が、TRPGにも存在します。

通常であれば、キャンペーンなどを通して、そのキャラクターの言動を見せ、行動することで参加者に意識させないといけない、「積み上げ」の行為が……たった一つのギミックですっ飛ばすことができます。

そう……勘が良い方はお気づきかもしれませんが……「ハンドアウト」システムがそれに合致します。

ハンドアウトは、セッションの事前に渡されるプレイヤーキャラクターの行動指針のことです。

ハンドアウトとして渡された設定は、自称ではなく公的な設定。Fateコンテンツで言えば、英霊の「逸話、歴史」に相当するパーツとなります。

他のPLはセッション中ないし終了後にハンドアウトを見ることで、「ああ、こいつは軸がぶれずに行動していたんだ」「あの時の発言は、こういう背景があったからなんだ」と感じさせることができますし

セッション中に、PCとの掛け合いの中で、ある行動を取った。

たとえば、PC2がNPCの女性を助けたとしましょう。

結果、それはハンドアウトから外れる行動であった。PC2の仇の娘がNPCで憎んでいた、というハンドアウトだったとしましょう。「ハンドアウトを破ってまで、こんな行動を取ったのか」。上の例で言う「積み上げたものを崩す」行為に映り、ドラマチックさがより増します。

「PC1の説得で……俺はNPCの女性を助けることにしたんだ」。ハンドアウトで「仇である」と定められている場合と、そうじゃない場合、同じ行動だとしても深みが変わります。

普通なら、長い時間をかけて言動と行動を一致させていることを見せつけなくてはならないのに、たった一枚のハンドアウトでこの過程をすっ飛ばせる、というのは、とてもよくできたギミックだと感心します。

特に単発セッションであれば、その破壊力は絶大なものですね。

ステップ1「行動と言動を一致させ、信念を見せつける」

ステップ2「その信念を貫く、あるいは崩す、ただし積み上げていない信念を崩すことに意味はない」

この二つのステップを踏めば、意図的に創作やPCで魅力的なキャラクターが手軽に作れることだと思います。

特にTRPGでは、筋の通ったわかりやすい信念があれば、簡単にキャラ付けができて覚えてもらえやすくなります。どんなキャラを作れば魅力的になるのか、と悩んでいる方は是非試してみてください。

※魅力的なキャラクターを作るための方法は、これ以外にもたくさん存在します。

あくまで、魅力的なキャラクターにアクセスするための一つのルートである、という前提で受け取っていただければと思います。

補足すると、言動と行動が合致して、というのは、本当になんでもいいです。「優柔不断」な言動のキャラクターは、軸が通っていないように見えますが「どんなときでも優柔不断」であれば、それは言動と行動が一致している、と認識させることができます。

行動理念がしっかりしている、と置き換えることもできそうですね。

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